これから読まれる方へ(6)シァンピ(鮮卑)、コマ(高句麗)、フーユ(扶余)〜「栗本慎一郎の全世界史」書籍サイトより

栗本慎一郎の全世界史」、今回は東アジア、満州に目を向けてみましょう。

そこには「鮮卑」(シァンピ)と呼ばれる、遊牧騎馬民の大国が存在していました。名前を聞いたことがある人もいると思いますが、鮮卑の影響は歴史の教科書で語られている以上のもの。


もちろん、日本史も大きな影響を受けています。以下、「全世界史」より関連部分を抜粋しましょう。


「ヨーロッパの歴史は、最初、アジアの動きに「支配」された。あるいは、少なくともその契機をもたらされた。


ただし、これまでの歴史家が言うようなメソポタミアギリシア・ローマ→ヨーロッパの流れはない。


どう意外だろうと、モンゴル高原セミレチエ→コーカサス→ドナウ西→西ヨーロッパの流れである。グレコ・ローマン文化はたかだかその傍流を形成した。


そのモンゴル高原の前の段階には、実は、これまた非常に意外でも北満州の存在がある。北満州からは、東へ向かって海を渡って日本列島へ来る道もある。


実際に4世紀には、西へ民族が向かってドナウ川を渡ることもあったし、東へ向かい日本海を渡って「日本を作った」集団もあった。ドナウを渡ったのは西ゴート族であり、日本海を渡ったのは蘇我氏の集団である。


いずれもシァンピ(鮮卑)とフーユ(フーヨ、扶余)の動きを直接のきっかけとしていた。


(シァンピの)本隊の部分は、4世紀から満州の南方に向かう。南に向かったシァンピの歴史的意味は、隋・唐という統一王朝を作り4〜8世紀以降の中国の歴史の土台を形成したことである。


この時期を踏まえて、7世紀初頭に大統一国家・唐(618ー907年)が生まれる。


地方を道、州、県に分け、律令格式を整備することになる、この大国家もまたはっきりシァンピが作ったものであった。4世紀に始まったシァンピの大移動はついに中国史の大心臓を作り出したのである。」


★2013年4月13日発売「栗本慎一郎の全世界史」(技術評論社)より


アジア、日本のみならず、ヨーロッパの歴史にも強い影響を与えたシァンピ(鮮卑)。。。ユーラシアを疾駆した遊牧騎馬民の大国が、大国・唐を作り、中国史の流れも決定づけたのです。



★このページでは、本書を初めて読まれる方、その魅力をまわりの人に伝えたいと思っている方を対象に、栗本先生の「全世界史」のエッセンスを紹介しています。「面白い!」と感じられた方はぜひ本を手に取って、全体を通読してください!


★『栗本慎一郎の全世界史』書籍専用サイト http://kurishin2013.wix.com/kurishin-world


栗本慎一郎の全世界史 ~経済人類学が導いた生命論としての歴史~

栗本慎一郎の全世界史 ~経済人類学が導いた生命論としての歴史~