トランス脂肪酸は体に悪くはない? 〜少し変わった「サイエンスライター」の視点から

トランス脂肪酸が体に悪い。。。こうした批判が科学的根拠に基づいていないということが記事になりました。

トランス脂肪酸って何だっけ? という人も含めて、下記の記事をご覧になってください。


http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120605-00000302-wedge-soci


書き手はサイエンスライター松永和紀さんで、僕も著作は何冊か読んでいます。サイエンスの視点をつねに大事にし、いたずらに食の不安をあおるかのような「怪しい健康情報」(いわゆるフードファデイズムと呼ばれています)に警鐘を鳴らしているスタンスなのだと思いますが、頷けるところは多々あります。


要は、いまの正当な科学の流れというのは、EBMエビデンス)第一主義であり、論文や統計データなどでしっかり裏付けがあるかどうか、それがどの程度信頼できるに足るのか、ここに価値観を置き、良し悪しを判断することが「良心的」という発想です。

お医者さんのなかにも、こうしたスタンスの良心的な人はずいぶんいます。


で、繰り返しますが、頷けるところは多々ある。勉強になるし、今回の記事にしても初めて知ったということはないんですが、僕自身、なるほどなあと思いました。


ただですね〜、多分説明しても伝わらないかもしれませんが、エビデンスというのは絶対のものじゃないですから。

エビデンス的に証明できなくても優れたものはいくらでもある。あるいは安全性が証明できたとしても、問題のあるものもある。


で、科学はこれらを検証する力は、残念ながらない。こうした現実も一方であることを知らないと、現代人の健康レベルが過去になかったくらいに低落しているという現実が、感覚的につかめない。


なにしろ、現行の健康診断、人間ドッグのたぐいでは、その人の明らかな体調の異常は数値化できますが、もともと持っている生命力までは測れません。


東洋医学では、そのへんを気とかプラーナとか呼んでいますが、それはそれで「ある」んです。そういう前提を一方で持ち、自分自身の感じる力を養うようにする。そうやってものそれ自体、人それ自体のエネルギーを感じ取るということも、じつは十分に「科学的」です。


正確に言えば、科学的アプローチとして重要なんです。なぜなら、それは既知ではなく、未知のものに対するまっとうなスタンスであるわけですから、その根拠はどこにあるのと(EBM的に)尋ねられても、質問そのものが的外れになってしまいます。


まあ、このへんのことを話すと長くなってしまうので、僕なりの「結論」だけ言いますが、トランス脂肪酸が含まれている食品の安全性は「さほど」問題視しなくてもいいかもしれない。

でも、安全とか安心と、その人が元気であるということはイコールとは言えません。


これはなかなか検証が難しいですが、トランス脂肪酸の害が指摘されるような食品というのは、その商品としての質自体とても高いとは言えないものが多いなあと、個人的には感じています(ぼやかした言い方になるのは、裏付けそのものは「ない」からです。笑)


やはりなんと言っても、大量生産大量消費の流れの中で大手メーカーが作ったものというのは、あまりクオリティーが高くない。

ステレオタイプに大手メーカー批判をしているわけではなく、それはもう、クオリティーに対する捉え方の違いであるわけだから、そうした違いについてしっかり認識しなければ、それはそれで大事なものを見失ってしまうことになります。

もちろん、基本的には安全でしょう。健康不安をあおるのは、その意味ではよくないのは当然。でもまあ、僕は自然とそういうものを選ばない。マーガリンはやっぱり使わない。人にもすすめない。笑。


このへんのバランス感覚、機会があればもう少し踏み込んで書きますが、わかりますかね?

科学者や科学ラーターが言う「科学的」とは何ぞやという話になってしまいますが、これはこれで問うてみることも、じつは科学的にかなり必要なことです。

もう少しデータ的な世界と感覚的な世界が、「どちらとも確かな面がある」という接点でうまく交わる状況が作れたら。。。そんなふうに感じます。僕も著書では、サイエンスライターと名乗ってしまっている(無資格ですが)一人なので。。。笑




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